最近の米映画のキャスティングに違和感

今年のアカデミー賞作品賞は、人種差別を題材にした「グリーンブック」が受賞しました。アフリカ系アメリカ人のピアニストを車に乗せて、イタリア系アメリカ人の運転手が、1960年代のアメリカ南部を運転して回るという物語。いつものハリウッド的結果に異論が噴出してるようです。

最近のアメリカ映画、特にアクションものなどエンタメ系作品は、白人、黒人、アジア系などがバランス良く?キャスティングされ、それぞれきちんと見せ場をちりばめて、全員が活躍してめでたしめでたし…というものが多いように感じます。ストーリーはどうでもよく、人種の垣根を越えて協力し合う、それが大事だ!という教本ビデオを見せられている感じがして、物語上必然性のない登場人物やエピソードに違和感というか、逆にアメリカの人種差別の根の深さを浮き彫りにしているように思います。まあ、ジャニーズのプロモーション映画のような純愛ものや、時空を超える系ばかりの最近の邦画もどうかと思いますが。商業性と作家性、どっちも求められる映画の世界って難しいですね。

文・ 秋野幸嗣

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