ニュースリリース

2014年1月7日

創刊30周年、決意新たに

情報で地域貢献、使命に

 1984年(昭和59年)5月、旭川初の定期刊行フリーペーパーとして誕生した「ライナー」は、おかげさまで今年、創刊30周年を迎えることができました。これもひとえに、読者や広告主をはじめ、弊社を支えてくださるみなさまのご厚情のたまものと、心より御礼申し上げます。通算発行回数3475号。発行部数17万部に上る情報紙を毎号、読者のもとへ届けてくれている配布員さん、いつもありがとうございます。感謝のことばを、いくら並べても足りないくらい、本当にたくさんの人々に支えられてきた30年であることを、スタッフ一同、実感しています。「地域に必要とされる存在であれ」。私が記憶している先代社長、故安井一雄の言葉には、ライナーが果たすべき社会的使命が込められているように思います。創刊30年にあたり、私たちはその原点にいま一度立ち返り、襟を正し、まっすぐな気持ちで、その使命に取り組んでいく所存でございます。

代表取締役社長 安井 清吉

暮らしに一番近い場所から

 フリーペーパー「ライナー」が誕生したのは1984年。ほどなくバブル景気にわく日本は、広告業が花形産業となりコマーシャルは文化とまで言われました。当時の広告メディアといえば、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌の4大マスコミが主流で、小規模商店や個人が情報発信する手段は限られていました。また地域という狭い範囲で、安価に広告を出せる媒体もありませんでした。
 一方、欧米では「フリーペーパー」という新しい媒体が注目され始めていました。私も初めての海外旅行でハワイに行ったとき、街角のマガジンスタンドにある無料誌を何冊か手にして、観光パンフレットとはひと味違う、生活者目線の生きた情報メディアであることを感じました。まだネットもなかったのどかな時代です。

 アメリカで起こったことは日本でも…というのは、情報産業も例に漏れず、1980年代から90年代にかけて、全国各地でフリーペーパーが創刊されます。ライナーもそうした日本のフリーペーパー黎明期に誕生しました。

 しかし当然のことながら、一般にはフリーペーパーというものがほとんど認知されていません。広告を集めるのも、無料配布の仕組みを作るのも、スタッフを確保し、教育していくのも、それは大変な思いをしました。会社の倉庫につづられている昔の紙面を見ると、その苦労が垣間見えます。ただ不思議なのは、いまの紙面と比べてページ数も広告の量も格段に少ないのですが、どこか人の体温が伝わってくるんです。かすれたインクの染みが、私にはスタッフの汗と涙に見えます。「この情報紙を絶対に、旭川に根付かせてやろう!」という情熱、意地、あるいは活字の仕事の末席に携わる者の矜持が、紙面に乗り移っていたのかもしれません。

 やがて、創刊から10年、15年、20年と経ち、ライナーは徐々に地域に浸透し、他にはない便利なローカルメディアとして、皆さんに使っていただけるようになりました。取材や広告の打ち合わせをしていると、ご本人や家族が配布員だったという人や、広告を見て家を買った、仕事を見つけた、犬を飼った、投稿が載った、孫が写っているので写真くださいなど、ライナーと何らか接点のある人によく出会います。この仕事を通じて、たくさんの地域の人たちの暮らし、もっと言うと人生とつながっているんだなぁと、感慨深く思ったりもします。

多様化する情報メディア

 世紀が変わると、情報技術の発展によって、メディアの役割や流通の形は大きく変化しました。創刊時に思い描いていたフリーペーパーの役割は、テレビや新聞、ラジオと共に、インターネットにとって代わられると言われています。

 以前、地元大学のゼミで地域メディアを勉強している学生に取材を受けたことがあります。その時の質問が、「フリーペーパーとネット。御社はその関係についてどう考え、今後どちらに力を入れていくんですか」というもの。私は、こう答えました。「紙とネットは、媒体としての特性も違うし、情報の受け手は便利な方を選べばよい。情報を通じて地域を豊かにするという目的がぶれない限り、その手段に特にこだわりはありません」と。

 これからも情報伝達の手段はますます多様化し、目まぐるしく進化を続けていくでしょう。あわただしい時代の変化のなかで、従来のビジネスモデルは淘汰されていくことが予想されます。しかし、地域の人々の暮らしが消えてなくなることはありません。時代によって、そのニーズが変化することはあっても、生活に密着した地域情報の必要性は変わることはありません。むしろ、多様化する情報社会のなかで、地域メディアが果たすべき役割は、ますますその領域を広げていくでしょう。

地域密着を誇りに今後も

 ライナーの「読者」とは、「地域で暮らす人々」にほかなりません。そうした生活者に一番近い場所、同じ目線で、人々の暮らしによりそうような存在であり続けたいと、30周年の節目に決意を新たにしています。

 30年間、この土地で情報紙を発行してきて、確かに言えることは、「この地域はとても魅力的だ」ということです。「愛するべきふるさと」だと、胸を張って言えます。なんだか青臭いですか?でもそれで結構。少しぐらい夢見がちなロマンチストじゃないと、血の通った情報紙なんか作れない、と私は信じています。「世界は驚きと感動に満ちあふれている」とは、アメリカの作家レイチェル・カーソンの言葉。地域で情報紙を発行する者として、このまちでキラキラと輝く人やモノに感動できる心って、絶対に必要なものだと思うんです。
 ライナーはこれからも、もっともっと、このまちの素敵なことを取り上げて、皆さんに紹介していきます。創刊30周年のライナーに、どうぞご期待ください。

取締役編集長 秋野 幸嗣