まっとうなプライドは かっこいい
NHKで放送されている「100カメ」というテレビ番組があります。「カメラを意識しない素の日常をのぞき見る」というコンセプトで、ひとつの場に100台の固定カメラを設置し、人々の生態を観察します。その記念すべき第一回。2018年に放送された、週刊少年ジャンプ編集部の回が大好きです。
『ONE PIECE』の尾田先生と電話していたり、読者アンケートの結果を見て「あーもうやだなぁ、何かいいことないかなぁ」と嘆いたり、連載会議で新連載と連載終了する作品が決まったり、打ち切りを作家さんに伝えたり。数々のヒット作を生み出す編集者の仕事を垣間見ることができます。
そのなかで特に印象に残っているシーンがあります。とある3年目の編集者が初めて立ち上げた連載が掲載された号の発売日。SNSで読者の反応を検索した担当者が「心折れた」「ネットって見ないほうがいいですね」と落胆します。好意的ではなかったのであろう作品への感想に「いかにちゃんと作っているかを力説したくてしょうがない」と漏らす担当者。それを先輩が「でもやっぱり漫画で伝えないといけない」と諭します。編集者としてのプライドが詰まったこの一言がかっこよく、しびれるのです。
れやこれやと考えて、最善と信じて出したものが評価されない。漫画でなくとも、そんなことは社会人ならザラにあります。そんなとき「わかってないな」とぼやきたくもなりますが、相手が玄人だろうと素人だろうと、「いいね」と認めてもらえるものを提供できてこそのプロなのでしょう。私も「かっこいい」「おもしろい」「素敵」と思ってもらえるものを作れるよう、プライドの意味をはき違えず、精進します。新年度なので決意表明でした。
広告部 餌取