92食目 ニューア○シヤ

昼時の大通公園を歩きながら「この時間帯はどこも混んでいるし、たまにはテイクアウトかな?」そんな事を考えていた。弁当というワードを思いついた刹那、懐かしい店を思い出し、2本ほど外れた通りへと歩き始めた。雑居ビルの1階、古ぼけた紅白の看板が見えた。ここがお目当ての「ニューア○シヤ」だ。

狭い店内には香ばしい肉の香りが立ち込め、既に数人の待ちができている。揚げ餃子やメンチカレーなど、旨そうなメニューはたくさんある。しかしこの店で迷うのは「何弁当にするか」ではなく「何つぶで注文するか」だ。からあげの個数を3つぶ~6つぶまで、ライスは大中小から選ぶことができる。この「つぶ」という表現も愛着が沸く。客の回転が早く、悩む間もなく自分の番がやってきた。一瞬脳裏を横切った高カロリーの文字。そこは敢えて無視し「5つぶ、ライス大」と叫んだ。

厨房で忙しく動くスタッフを眺めていると、ほどなくお待ちかねの弁当がやってきた。赤ん坊の拳ほどもあるからあげがギュウギュウに詰め込まれ、閉まらないパックの蓋は、申し訳程度に輪ゴムで留められている。足早に車まで戻り、白米を左手にセッティング。つやつやと輝いた、濃いきつね色のからあげに齧り付く。しっかりとした味付けのからあげから、アツアツの肉汁が染み出てくる。醤油とニンニクの具合が絶妙だ。ジューシーだが胸焼けするようなしつこさはなく、ご飯との強力なタッグは昔のままだ。

大ボリュームの弁当は、瞬く間に胃袋へと収まってしまった。学生時代に通った頃と、全く変わらない懐かしの味。今後もずっと続いて欲しい。

関連記事一覧