帰ってきました!
一昨年、新札幌・江別を配布エリアとする関連会社「まんまる新聞」に転籍し、しばらくの間、違うまちでのフリーペーパー発行業務に就いていました。江別市は人口12万人。市街地は国道12号線沿いにコンパクトにまとまっていて、周囲には農村が広がっています。「旭川に似ているなあ」というのが最初の印象でした。
そこで、手始めに基幹産業である農業と、地元の農産物を使った飲食店の取材を始めました。江別には農産物直売所がたくさんあり、出荷はほぼ地元直売所か札幌のショッピングセンターでの直販ということでした。ある農家は、年間5~6回地元の飲食店とコラボして、店先で採れたて野菜入りのキッシュや農産物を販売するマルシェを開催していました。秋にはそこで新米の予約も受け付けています。
江別市はここ数年、人口が増えています。子育て世代の若い人たちを中心に、札幌から移住してくるケースが多く、札幌で腕を磨いた新規開業のイタリアンのシェフは「自分が納得できる仕事と家族と過ごす時間。それを両立できるのがこのまちだった」と語っていました。「札幌のベッドタウン」と言われますが、実際に取材でいろいろな方に会うと、札幌に対する劣等感はなく、むしろ「江別の特産品を札幌に売り込んでやろう」というしたたかさを感じました。
私はライナーで20年近く、編集長という立場で働いてきました。自分の仕事は「地元のいいところ探し」だと信じてきました。しかし、あらためて振り返ると、いささか妄信的だったかもしれません。「北海道第二の都市」という形骸化したプライドは捨てて、ダメなところにも目を向ける。今後は、そんな大人の深い愛情をもって地元に向きあおうと思っています。
参与 秋野