95食目 お食事処た〇ぎ
コスパの高い店が多い札幌でも、特にお奨めしたいお店がある。厚別区にある「お食事処た〇ぎ」である。一見老舗の飲み屋さん風の建物だが、躊躇わずに入ってほしい。
暖簾をくぐると、年配のおじさん店長が席へ案内してくれた。壁のメニューを眺めていると、驚愕の事実を知る。品数の豊富さもさることながら、異常なほど安い価格設定だ。ラーメンが450円だったり、チャーシュー麺にしても50円しか増えなかったり、今時そうそう出会えない値段のオンパレード。さらに、周りを見渡しても他にスタッフは居ない。一人で切り盛りしているようだ。もはや正気の沙汰ではない。
狙いはネットで見た、スパゲテイチキンカツミートソース600円だ。注文するとすぐさま油にカツを投入し、ピチピチと音が鳴り響く。一気に蒸気が充満したせいか、ガラス窓が少し曇る。ノスタルジックで良い。予想外に早く皿が運ばれてきた。失礼な話だが、お店の雰囲気からは想像もつかない、繊細な料理が目の前にある。スライストマトの上にスパゲテイが乗り、その上にしっかり揚がったチキンカツが鎮座。サラダ菜の下にこっそりとポテトサラダとオレンジが隠されているのもオツだ。お肉たっぷりのミートソースに絡めて頬張ると、至福の一時。カツも厚く、ジューシーで味わい深い。
600円でこのクオリティは、コスパ最強クラスだ。お腹いっぱいで会計に向かうと、カウンターに積み上げられた重箱が目についた。どうやら開店前に仕込んだ幕の内弁当のようだ。職人技が込められた幕の内、次回ぜひとも食してみたい。